まさ@ブログ書き込み中

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まさの旅、英語、プログラミング、プライベートについて、色々記録しています。

吉川洋著の『人口と日本経済』を読んでみた

 

こんばんは、まさです。

今日は飛行機の中で読み終えた本について紹介します。 

 

吉川洋の『人口と日本経済』です。 

 

 

どんな本なの

引用します。

本書は、21世紀の日本を考えるときのキーワードとも言える人口について、経済との関係で考えてみることを目的としている。人間の歴史の総決算とも言える人口は、複雑な現象であり、既存の学問一つでは到底全貌を明らかにすることはできない。本書はあくまでも経済と人口の関係についてのエッセイである。

 

つまり、この本はタイトル通り人口と経済の関係について著者による切り口で考えていく本。この本の中には「経済成長」とは少し離れるものの、面白いテーマがいくつか出てきます。例えば、

  • 生物学的には、体重60キロ程度の「雑食大型動物」の適正密度から計算すると、人類は地球における適正密度の30倍であり、世界中で見たら人口は明らかに過剰である

  • 歴史的に、経済学者の間で「人口が多い方がいいのか、少ない方がいいのか」という議論は右往左往してきた。例えば『人口論』で有名なマルサスは「人口の原理」(所得が増えれば増えるほど人は増えていくが、食料は人口増加のスピードに追いつかない)を唱え、それを信じているが故に当時の救貧法を真っ向から批判したが、先進国では人口減少が社会問題になっている

  • AI、ITに仕事奪われると言ってるけど、歴史的には人手が足りないから「省力」のために機械が導入されてきたのだから、「AI=仕事なくなる」という考えは論理の飛躍

  • AI、ITによって作り出されるモノやサービスを消費するのは人間で、人間が消費できるにはそれだけの所得が無いといけないのだがらやっぱり「AI=仕事なくなる=お金なくなる」という考えは論理の飛躍

などです。しかし、これらのテーマについては著者はあまり深く掘り下げません。あくまでメインは「人口と経済成長」についてです。

 

著者の主張で面白かったところ 

人口と経済成長について、この本で特に面白かったところは

  • 日本人は人口減少による経済成長の影響に対して悲観的になりすぎ、先進国の経済成長を決めるのは人口ではなくイノベーションやで
  • 経済成長がそもそも必要かという議論はあるけど、経済成長は若い人たちの雇用の劣化を防ぐため、そして健康寿命や生活の質(Quality Of Life, 以下QOL)を上げるために必要だと思うで

この二つでした。一つずつ、僕なりに整理しながら説明したいと思います。

 

 

先進国の経済成長を決めるのは人口ではなくイノベーション

第二章『人口減少と日本経済』では高齢化による社会保障費の圧迫と少子化による納税額の減少・それによる財政破綻・地方の消滅などの問題についてデータとともに触れ、人口減少は問題だとしておきながらも、著者はこう述べます。

 

明治の始めから今日まで150年間、経済成長と人口はほとんど関係がない、と言ってよいほどに両者は乖離している。

 

実際に著者が本の中で紹介したデータはこちら。

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引用:http://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/11p006.pdf

 

 そしてこのようなデータが出ていることについて

 

経済成長率と人口の伸び率の差、これが「労働生産性」の成長に他ならない。

 

と言っています。

 

ちなみに「生産性」 という言葉を聞いた時に僕がすぐ思い出すのはこんな感じの人たちがよく言う「セイサンセイ」。

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あと、こんな感じの人が言う「セイサンセイ」。

 

f:id:masaincebu:20170715211815g:plain

 

つまり、僕は頭の良さ、やる気、体力のことなどを「(労働)生産性」としてイメージしていました。しかし、著者はこう言っています。

 

労働生産性」を労働者の「体力」や「敏捷性」と同一視する人もいる。

 

(中略)

 

しかし、労働生産性の実態は、労働者のやる気や体力ではない。

 

(中略)

 

一国経済全体で労働生産性の上昇をもたらす最大の要因は、新しい機会や設備を投入する「資本蓄積」と、広い意味での「技術進歩」、すなわちイノベーションである。

 

 ちなみに、「技術進歩」と言った時に僕たちは科学者・技術者によるハード面における「技術」、テクノロジーを思い浮かべがちですが、ノウハウや経営力などソフトな技術力もまた技術進歩と呼べるらしいです。

 

 

経済成長は雇用の劣化を防ぐため、そして健康寿命QOLを上げるために必要

この話は結構深い内容になるので、本書全体のポイントや最終章(第四章)の内容に沿ながらじっくりと説明していきます。

 

長寿という果実

僕らは寿命が伸びていること、そしてこれから伸びていくこと、80代まで生きていけるだろうという見通しを持っていることを当たり前のことだと考えがちです。

 

WHOが発表した日本の平均寿命は男性が80.5歳、女性が86.1歳で世界1位ですが、例えばロシアの男性の平均寿命は、2013年で63歳。また、医療の発達と平行して単純に伸びるわけでもないみたいです。どうやら平均寿命は高いのが当たり前ではなく、社会・経済の状態によって大きく左右されるようです。

 

平均寿命を伸ばす具体的な社会・経済の要因としては、第一に一人あたりの平均所得が上昇し、栄養価の高い食べ物が食べられるようになったり、雨風邪をしのげる衣服や住居が手に入ること。第二に、医学の進歩。第三に、皆保険の成立らしいです。

 

筆者は、戦後日本の最大の成果とは、平均寿命の急激な延びなのだと言っています。どうあがいても死を迎える人間一人ひとりの生きることができる時間が増えたこと。確かにこれは何物にも変えられないですね。

 

後は長い人生をどれだけ幸せに生きるか

平均寿命がこれ以上延びようが延びまいが、筆者は経済成長は必要だと説きます。

 

平均寿命の延長がもはや見られないことになるとしても、すでに現実になりつつある超高齢化社会において人々が「人間らしく」生きていくためには、今なお膨大なプロダクト・イノベーションを必要としている。

 

高齢化社会においては、医療・介護は言うまでもなく、住宅、交通、流通、さらに1本の筆記具から都市まで、すべてが変わらざるをえないのである。それは、好むと好まざるとにかかわらず、経済成長を通してのみ実現されるものである。逆に、先進国の経済成長を生み出す源泉は、そうしたイノベーションである。

 

 

高齢化社会に向けたイノベーションにとって、日本経済は大きな可能性を秘めている

所得水準は高いが、お金を使っていない高齢者に対してより良いサービスを提供する。その意味においては、日本は世界で一番のかっこうの「実験場になっている」のだと著者は言います。

 

2 高齢者の経済状況|平成28年版高齢社会白書(概要版) - 内閣府 の図にもあるが、一般的に言われているとおり、現代の高齢者の人たちは貯金を全世帯の平均以上持っていますね。

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その上、ドイツを始めとしてこれから日本のように(超)高齢化社会になっていく国も増えてくる。その時に日本こそがその社会に適応したビジネスを考えられられれば、日本はチャンスがあるのかもしれません。

 

 

感想

この本で議論されている内容は結構面白いです。第一章『経済学は人口をどう捉えてきたか』は僕はあまり興味ありませんでしたが、第二章以降は面白い話がてんこ盛り。

 

話が長くなるのでこの記事であまり触れていませんが、「経済成長は必要か」の項も面白いです。端的に言うと「経済成長至上主義は愚かなのはわかるけど、みんな経済成長の恩恵を受けて生きているんだよ、だからあまり過剰反応しないで冷静に捉えていこう」っていう感じです(大いに間違えて受け取られそう)。

 

ちなみに、この記事は延ばし延ばしに書いて3日にわたってちょこちょこ書いてましたので、なんか話の流れがおかしかったらご容赦ください。

 

ではまたー